かわいいはずの我が子にイライラ!怒っちゃダメって分かっているけど…

  

かわいいはずの我が子にイライラ!怒っちゃダメって分かっているけど…そんなお悩みを抱えている人必読!

怒ってもいいの!?子どもを守るためにイライラしているってどういうこと!?

「感情のプロ」が徹底解説します。

子育てをしている以上、イライラと無縁でいる方が不可能。

そう言い切ってもいいくらい、穏やかでいたい、笑顔で子育てしたいという思いとは裏腹に、イライラしてしまうものです。

大切なはずの子どもなのに、いえ、大切だからこそ、かもしれません。

ためしにこの一週間を振り返ってみていただきたいのです。どんなことでイライラしましたか?

  • 子どもがなかなか起きてこない。だから昨日早く寝なさいって言ったのに…
  • 起きてきたと思ったら次の難関は朝ごはん。忙しい中作った朝ごはんに文句ばっかり。全然食べてないじゃない。具合が悪くなったらどうするのよ…
  • ようやく着替え、でもちょっと待って。真冬に半袖Tシャツはナシでしょ。しかも上下真っ赤って…風邪ひいたら困るしそれはNGだよ…ここでもまたひと悶着(げっそり…)
  • 怒らないように我慢しながら声をかけてきたのに、結局時間ぎりぎりになって焦り出す始末。子どももイライラして荒れ始めて…
  • 「ちょっと!!何時だと思ってるの!いい加減にしなさい!!」あぁ、やっぱり今日も怒鳴ってしまった。こんな見送りはもうしないって昨日も思ったよね。笑顔で園バスに手を振るのが理想なのに結局怒ってるわたし、ほんとダメだな…

一週間はおろか、一日の、それも朝のたった数時間を振り返っただけでも、イライラと闘うシーンは多々あります。

そう、イライラ(=怒りの感情)は、とても身近で日常的なものなのです。

にもかかわらず、怒りについてきちんと学んだことがあるという方は多くはないのではないでしょうか?

それこそが、私たちが怒りの感情と上手に付き合えずにいる(=怒りで失敗する)原因でもあります。

何事もそうですが、よい関係を築きたいならまずは相手を知ることから

怒りの感情がどんなものなのか、そして上手に付き合っていくにはどうしたらよいのかを、今日はアンガーマネジメントという学問をベースにしてお伝えしたいと思います。

そもそも怒りって何?


「怒り」と聞くと、何かものすごく恐ろしいものをイメージするかもしれませんが、「イライラ」と表現した途端にどうでしょう?

とっても身近な存在に思えませんか?

怒りには、ちょっとイラっとしたというレベルから、はらわたが煮えくり返る、怒髪天を衝くと表現されるレベルまで、実は幅があるのです。

自分が怒りを感じたとき、その怒りのレベルを意識してみると面白い気付きがあるかもしれません。

わたしがいつも研修や講座でお伝えしている方法をご紹介します。その名も「怒りの温度計」

感情が穏やかな状態を0怒髪天を衝く勢いの怒りを感じたとき10としたとき、「私は今どのくらいの怒りを感じているかな?3かな?いや2くらい?」と考えてみる。

こんな感じです。

それを繰り返すうち「あ、わたしって大体いつも1か2くらいの怒りだな。すごく怒っていると思っていたけど、4とか5のときはほぼないし、案外怒っていないのかも。しかも、こういうシーンで怒っていることが多いよね。」と、自分の怒りの傾向がわかってきます

自分がどんな場面でどの程度の怒りを感じる傾向があるのかがわかれば、事前の対策を考えることができますよね

ついカッとなって、怒りの感情に振り回されて必要以上に怒ってしまった…という後悔を減らしていくには非常に効果的なトレーニング

ぜひやってみてくださいね。

さて、話を元に戻します。

「そもそも怒りって何?」というお話でした。

怒りとは、すべての生き物に生まれつき備わっている「防衛感情」です。

大切なものを守るために身につけている本能的な能力と言い換えてもいいかもしれません。

犬でも猫でも、あらゆる動物は親が子を守るとき、敵を威嚇して追い払いますよね。あのときに活躍しているのが「怒りの感情」です。

大切な子どもの命を危険から守る。そのために、防衛感情として備わっている怒りの感情をオンにしているのです。私たち人間もまた同じ。

動物として、大切なものを守る本能として、防衛感情である怒りを与えられています。なくすことはできませんし、なくす必要もありません

だからこそ、上手に付き合っていくのです。私たちが怒りを感じるときには必ず、自分にとって大切な何かを守ろうとしている、ということです。

子どもがいきなり車道に飛び出しそうになったり、椅子から落っこちそうになったり、お風呂ではしゃぎすぎて溺れそうになってみたり…子どもが小さいときには、子どもの命や安全が脅かされる機会も多いもの。

必然的に親の防衛本能がオンになる場面、怒りの感情を駆使する場面も増えるのです

イライラする場面が多いということは、それだけ必死に子どもを守ろうとしている、という証なのです。

怒りを感じることに罪悪感を持つ必要はないのですね。「怒ってもいい」と言ったのはこういう理由からです。

怒ってもいい!でもこんな怒りには要注意!


怒りの感情自体は悪いものではないなくす必要もないしなくすことはできないとご理解いただけましたでしょうか?

とはいえ、私たちはどこかで「怒ることはよくない」と思っていますよね。

その原因の一つは、怒った結果、後味の悪い思いをしたり後悔したりする経験を繰り返しているからです。

冒頭の朝のイライラのシーンのように、怒らないように我慢してきたけれど結局爆発したり、必要以上に大声で怒鳴っては後悔するという結末になっていたり…

怒るとよくないことにつながる、という経験を繰り返すと、そのうち脳は「怒る=後悔する」「怒らないほうがよい」と認識するようになるのです。

ですが、怒りは防衛本能でした。大切な何かを守ろうとしていたはずですよね。

朝のシーンで守ろうとしていたものは何だったのでしょうか?

子どもを空腹や体調不良から、風邪から、そして遅刻から守りたい、その思いから一つ一つの怒りが生まれていたのです。

目指したいのは「怒らないこと」ではなく「怒りで後悔しないこと」

自分の怒りが以下の4つに該当していたら、後悔につながっている可能性が高いです。チェックしてみてくださいね。

◎後悔につながりやすい4つの怒り方◎
➢頻度が高い=しょっちゅうイライラしている
➢強度が高い=必要以上に強く怒ってしまう
➢持続性が高い=一度怒ると止められない 過去の話まで持ち出して怒ることも
➢攻撃性がある=自分を傷つける(過度な反省や自己否定)他人を傷つける(言葉、態度、暴力)ものを壊す

いかがでしたか?

どれもあるあるだったかもしれません。最後の「攻撃性がある」のところに、「自分を傷つける」と書いてあります。

これは怒りの矛先を自分に向けて「怒ってしまう私が悪いんだ」「わたしが怒らない人間ならいいのに…」「怒らないようになれない自分はダメな人間だ」などと過剰に自分を責めたり自信を喪失したりする、ということ。

怒っては後悔と自己嫌悪、自己否定を繰り返していたわたしには、それが「自分を傷つける」ことであり、やってはいけないことなんだと知れて救われました。

もちろん、悪かったことを反省して次に活かすことは大切です。

でも一歩間違うと育児ノイローゼや自傷行為につながることもあり、そうなれば自分を怒りの感情の犠牲にしてしまいます。

真面目な人、向上心がある人ほど陥りやすいのでご注意を。

大丈夫、きちんとコツさえつかめば必ず自分の感情は自分でコントロールできるようになりますよ

怒りで後悔しないためには、どうしたらいいの?


「怒らないこと」ではなく「怒りで後悔しないこと」を目指したい!

そうなれば知りたいのは「じゃあどうしたらいいの?」ということですよね。

怒りで後悔しないために今日からできることをいくつかお伝えします。

怒りを感じたらまず6秒!

怒りの感情のピークは6秒といわれています。(諸説ありますが、長いもので6秒とされています。)

つまりイラっとしてから6秒経過すれば、自然にその怒りはクールダウンしていくものなのです。

この6秒の間にやってはいけないのが「反射」

ついカッとなって、怒りの感情に振り回されて、衝動的に何かを言ったりやったりすると後々後悔につながります。

それから「我慢」も逆効果。

怒りを押さえ込んだりため込んだりすればそれだけ、爆発するときのエネルギーも大きくなるものです。

6秒を制するものは怒りをも制す!

6秒の間に怒りの勢いに負けて思ってもいないような言動をしてしまわないために、身につけておきたい具体的なテクニックをこれから3つ、ご紹介します。

自分にとって効果的なものを見つけてぜひ今日から活用してくださいね。

6秒の活用法 その1 カウントバック

6から0までゆっくりと心の中で数字を数えます

数字が0になると同時に怒りの残量も0になるイメージで、イライラ指数が下がっていく様子を思い浮かべながら数字を数えることに意識を集中させます。

6秒の活用法 その2 魔法の呪文

イラっとしたときに自分にかけてあげる言葉を、イライラしていないときにあらかじめ用意しておきます

「(強く怒りすぎて後悔しているなら)落ち着いてから伝えるぞ

「(自分の怒り方、言い方で後悔しているなら)言い方、言い方

「(怒る頻度が高くて後悔しているなら)6秒は言わずに待ってみよう

など、怒りに言動の主導権を持ってかれないように、自分に声をかけて次にどうすれば後悔がないかを問いかけます

思考することで感情が抑えられ、バランスが取れるようになります。

6秒の活用法 その3 深呼吸

心と体はつながっています

怒りを感じると、体に力が入って固くなり、呼吸は浅くなり、そして心拍数も上がります。

いわゆる「戦闘モード」です。

防衛本能がオンになり、敵から大切な何かを守ろうとして臨戦態勢に入っているのですから当然です。

そんなときは深呼吸をして、緊張している心身を緩めることがとても効果的

理想の深呼吸は4秒吸って6秒吐く

これだけで10秒要するのですね。

6秒って案外あっという間なのです

目をつぶり、自分がリラックスできる場所を思い浮かべながら深呼吸を3セットほど繰り返すと、気持ちも脳もすっきりして、怒りは静まります。

すでにご紹介した「怒りの温度計」を6秒の間につけるのも効果的ですよ。

イラっとしたらすぐのその場で何かを言ったりやったりするのではなく、6秒使って自分の怒りをコントロールすることを習慣にしてください

感情が落ち着いてから、伝えるべきことを冷静に伝える方がリクエストはぐっと伝わりやすくなり、怒りによる後悔もぐっと減らすことができます。

まとめ


今回は、怒りの感情が備わっている理由と、怒りに振り回されずにすむ方法を中心にお話ししました。

「怒ること=悪いこと」という思い込みから解放されて、上手に怒れば後悔にはつながらないんだということを理解していただけたら嬉しいです。

「上手に怒る」とはどういうことなのか、徐々に怒りにくい体質になっていくにはどうしたらいいのか、そのあたりを次回はお伝えしていけたらと思います。

怒ってもいい!怒らなければいけない場面が、子育て中には多いものです。

怒ることを怖がって怒らずにいた結果子どもを守れなかったら、それこそ取り返しのつかない後悔につながります。

上手に怒れる人を目指して、一緒にアンガーマネジメントしていきましょう!

プロフィール

加藤 聡子(かとう さとこ)/子育てカウンセラー。6歳までのお子さんを持つお母さんのイライラに寄り添い、笑顔で子育てを楽しめるためのお茶会や講座、個人セッション、グループ継続コンサルなどを展開している。
初めての子育ての不安と孤独、疲れでイライラが募り、子どもに辛くあたっては後悔と自己嫌悪を繰り返した自身の経験が活動の原点。このままでは子どもか自分のどちらかがおかしくなるという危機感からアンガーマネジメントを学んだことで、少しずつ自身の子育てが楽になったことから、次男妊娠中に講師養成のトレーニングを受ける。以降、自治体や学校、子育て支援団体からの依頼を受け、子育て中の保護者に向けての講座に数多く登壇。これまでのべ500人以上の保護者にイライラとの上手な付き合い方を伝える。一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 アンガーマネジメントファシリテーター/アンガーマネジメント叱り方トレーナー

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ブログはこちら。
https://www.angermanagement.co.jp/facilitator/48987