子どもの心を育てながら賢い子を育てる「5つのポイント」

  

 

プロフィール

大坪 信之(おおつぼ のぶゆき)/株式会社 コペル 代表取締役。福岡大学人間関係論非常勤講師。一般社団法人徳育学会会長。日本メンタルヘルス協会公認カウンセラー。2児の父。1963年福岡県生まれ。大学卒業後、日本アイ・ビー・エム株式会社にてシステム開発や営業業務に従事する。自身の子育て中の経験から幼児教育に興味を持ち、1994年に徳育教室(現コペル)を設立。幼児教室コペルの運営を通じて、子どもの心の教育を志し、様々な研究に取組んでいる。全国各地で子育てセミナーや子どもの潜在能力を引き出すための講演活動なども多数実施。

 

では、心を育てるためにはどうすれば良いか、その「5つのポイント」を、これからお伝えします。

ポイント.1 無条件の愛を与える


1つ目のポイントは、「無条件の愛を与える」ことです。

子どもの一番の望みは「親に愛してほしい」ということです

「これができたら良い子よ」と言われると、子どもは「これができないと愛してもられないのではないか」と心配になります。

だから、親は「そこにいれくれるだけでありがとう」「生まれてきてくれただけ幸せ」という愛し方が必要です。

これが全てのスタートです

例えば、大きくなって事件を起こす子どもは、近所の人に話を聞くと「あの子は勉強ができて、良い子だったんですけれどね」という話が、よくありますよね。

あれは「良い子シンドローム」という名前までついています。

あれは、「私は良い子でないと愛してもらえない」と思いがんばって良い子をやってきた子どもの傾向です。

例えば、「勉強できて良い子ね」と言われると、勉強をしていると愛してもらえると思い勉強します。

小学校のときトップでした。

すると、良い子ね、良い子ねと言われました。中学校でもトップでした。でも、高校でトップの子ばかりの高校に行くと、トップではなくなります。

そうなったとき、自分はトップであったから価値があったのに、これで価値が亡くなってしましたと思ってしまいます。

人は、自分を見る幅で人を見ますから、自分に価値がないということは、人にも価値がない、社会にも価値がないと思って、あのようなことに至る傾向があります。

だからこそ、本当の自分自身、裸の自分の価値があるのだと思わせてあげることがスタートです。

ポイント.2 その子の中に必要な能力があると信じてあげる


2つ目のポイントは、「その子の中に必要な能力があると信じてあげる」ことです。

例えば、保育園や幼稚園に行きたくない、小学校に行きたくないという子どもがいます。

理由を聞くとカンタンなことなので、親は「そんなに気にしなくていいよ」とアドバイスしたくなりますよね。

しかし、そのアドバイスが上手くいくことはありません。なぜなら、アドバイスは、その子を否定することですから。

人間は、解決できない問題で悩むことはありません。夢見ることができないものに悩むことはありません。

例えば、私が今度のオリンピックにこの分野で金メダルを獲りたいと思って悩まないのは「ムリだ」と思って、夢見ることができないからです。

反対に、私が2020年までにこれができたら良いなと思うことができるのは、実現可能だから夢見るのです。

極端な例かもしれませんが、今日隕石が落ちてきて死ぬのではないかと悩まないのは、自分にはどうしようもできないことだから悩まないのです。

つまり、人が悩むということは「自分で答えを持っている」から悩むということです。

子どもであれば、子どもなりに優希を出して、こうしてみようかなという答えを持っているのです。

だから、それを聞き続けてあげることで解決していきます

もちろん、子どもの決断ですから失敗することもあります。

ポイント.3 失敗も含めてあたたかく見守る


3つ目のポイントは、その「失敗も含めてあたたかく見守る」ということです。

最近過干渉という先回りしてあげることはネグレクトという無視する虐待と同じ虐待に分類されました

良かれと思ってやってあげているのに、無視していることと同じ意味の虐待なのです

だから、押し売り的な助け方ではなく、御用聞き営業的な「助けてと言われてから助ける」ような、そういった関わり方が重要だということです。

ポイント.4 徳育を大切する


4つ目のポイントは、「徳育を大切する」ことです。

徳育は、何か道徳的なものを上から押し付けて教えるというわけではないです。

人間の脳は、アメーバの脳、魚の脳、爬虫類の脳など原子哺乳類の歴史が詰まっています。

だから、奥深いところに何が入っているかというと、アメーバみたいな生き物をみるとわかります。

アメーバみたいな生き物は弱いです。自分で完結できないで周りの生き物と助け合って生きています

だから、私たち人間は、奥深いところには「助け合いたい」というすごく強い要求があります。これ本能です

だから「世のため人のためになりたい」というのは本能なのです。

一流の人は、全脳が使えるのでそういった奥深いところが出てきます。

どのような分野でも、超一流の人が人格的に優れている人が多いような気がします。

けれども、それは自然とそうなるということです。そういった美しいものが出てくるのです。

ポイント.5 あるがままでいいんだと比較をしない


最後の5つ目のポイントは、「あるがままでいいんだと比較をしない」ことです。

その子の短所と思われる部分に、実は強いが隠れています

長所と短所は裏返しですから、長所だけの人もいなければ、短所だけの人もいません

例えば、お母さんたちは、「児童館に連れていっても背中から離れないいのですが、この子は将来引きこもりになるのでは?」と心配したり、「この子は他の子のおもちゃと取り上げるんですけど、社会性がないんでしょうか?」と心配したりします。

でも、子どもなりに個性がありますから、この引っ込み思案の子どもと、暴れん坊の子の性格を交換することはできません。

もちろん、悪い面をみるとそういうことですけれども、そこに良い面があります。その子の特徴です。

引っ込み思案の子は、深く考える慎重な思慮深いタイプです。暴れん坊の子は、バイタリティがあるということです。

だから、良いほうに目を向ければ、ダメな子なんて一人もいません

しかし、あなたは「引っ込み思案ね」と言われてしまうと、セルフイメージが引っ込み思案になり、消極的な大人になります

「深く考えるね」と言えば、良い面が出て、思慮深い大人になります

あなたは「乱暴者ね」と言えば、乱暴者になる。

「あなたは元気ね」と言えば、バイタリティを発揮したりリーダーシップを発揮したりケンカの仲裁をしたりするようになります

だから、良いほうに目を向ければ、ダメな子は一人もいません

目を輝かせるために色々なものに触れさせる


そして、もう一つ追加のポイントとして「目を輝かせるために色々なものに触れさせる」ということもあります。

基本的に、子どもは退屈しています

だから、退屈しないようにすることが、非常に重要です。

とにかく、子どもの学ばせ方で学ばせて上げることです。

3歳になると、過去形で話せるようになりますが、その3歳児に「過去形の文法はこうよ」と教えると、お互いにつらいだけですよね

子どもにとっては、理解もできないですし、面白くもありません

ですが、子どもが過去形を使えるようになるのは、過去の言い回しがたくさん入ってきて、その中で自分なりに文法を作ったということです。

これは、三角形の底辺が広がると頂点が高くなるイメージです。

たくさん事実が入ると自分の中で論理を作っていく能力が子どもにはあります

だから、子どもにもムリだと思わず、たくさんの事実を教えてあげると良いのです。

そもそも、子どもは左脳を使っていません。カンタン、難しいがありません。

子どもが好きな言葉というと、例えば「じゅげむじゅげむ」などです。

あのような意味のない言葉の羅列ですが、良いリズムを持っているから子どもが好きなのです

もともと、言葉は歌でしたから、良いリズムを持っているものを、子どもは好みます。

例えば、四字熟語、ことわざと、古典、名文などです。

子どもの学び方と大人の学び方は違う…


逆に、我々大人は、そんな難しいものと思うものですが、子ども向けの文章を集めるとそういったものになります

だから、子どもの学び方で学ばせてあげることが重要です。

例えば、「2+3=5」と教えようとします。大人は、指で1、2,3,4,5と数えたほうが分かりやすいでしょう

ですが、子どもは、これでは分かりません。

これは「やさしい」教え方をするということは、論理的に、左脳的に教えていることです。

しかし、子どもは左脳を使えないので理解が難しいです

だから、もし子どもに「2+3=5」を教えるなら、「2と3で5」と、リズムで教えるのが正しい教え方です。

大人からすると、それはロジックを教えていないので何を教えていることになるのだろうと不思議に思いますが、「1と4で5」と、そういう事実をたくさんいれることで、子どもは自分で文法を作るようにロジックを作っていきます

大坪信之氏インタビューの完全版はコチラ

プロフィール

大坪 信之(おおつぼ のぶゆき)/
株式会社 コペル 代表取締役。福岡大学人間関係論非常勤講師。一般社団法人徳育学会会長。日本メンタルヘルス協会公認カウンセラー。
2児の父。1963年福岡県生まれ。大学卒業後、日本アイ・ビー・エム株式会社にてシステム開発や営業業務に従事する。自身の子育て中の経験から幼児教育に興味を持ち、1994年に徳育教室(現コペル)を設立。幼児教室コペルの運営を通じて、子どもの心の教育を志し、様々な研究に取組んでいる。全国各地で子育てセミナーや子どもの潜在能力を引き出すための講演活動なども多数実施。

<主な幼児教育関連著書・監修書籍>

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