少し前までは重要視されることの少なかった幼児教育。
近年の日本でも教育先進国に遅れながらも、その重要性に注目が集まるようになりました。
幼児教育とは、乳児期を過ぎた1歳前後の子どもたちを取り囲む、全ての教育を指すものですが、その重要性はどのようなものなのでしょうか。
ここでは、小学校受験を目指す際に必要となる幼児教育や受験に合格した人のその後のキャリアについても合わせてご紹介します。
幼児教育の重要性とは?
幼児教育の研究が進むにつれて、その重要性が叫ばれるようになりました。
重要であると考えられる最大の理由は、幼児期が「人間形成の基礎であり、人の能力や才能の芽が培われる重要な時期」であるから。
専門家の中には、「幼児期の子どもの1日は大人の1ヶ月分の価値がある」と明言する人がいるほどです。
普段の生活や何気ない遊びを通して、情緒・運動能力・言語、そして社会性や生活力といった様々な知識や技能を発達させるのが幼児期の子ども達。
また、人の脳には、学習するのに最適な時期があるとされており、幼児教育が大きく影響を及ぼすとされています。
専門家はこの時期を「臨界期」もしくは「感受性期」と呼び、重要視しています。
各知性によって臨界期とされている時期には多少の違いがあり、以下の年齢が特に重要とされています。
・言語的知性:0歳から9歳
・身体運動的知性:0歳から4歳
・音楽的知性:0歳から4歳
・論理数学的知性:1歳から4歳
保護者は幼児に与える教育が、人間として生き抜く力に大きく左右することを理解し、幼児教育に常に関心を払っている必要があると言えるでしょう。
身体を使って遊び、学ぶことで考える力や豊かな感性を養うことにつながります。
また、様々なものへの意欲を育むことはやる気につながり小学校以降の学習内容を深く理解できることへとつながるのです。
小学校受験に必要とされる幼児教育とは?
小学校受験に必要な幼児教育を知るためには、やはり入試の内容を知る必要があります。
もちろん、入試対策をして合格しなければならないということもありますが、各小学校が求めている子ども像は、入試の内容に凝縮されています。
そもそも、小学校が子ども(および家庭)に求めていることや学校の方針と、わが子の性格や家庭の教育方針がずれていては、入学後に有意義な学校生活が送れるとは思えません。
小学校受験において最も重要なことは、保護者や子どもの考えと合う学校を見つけることと言えるでしょう。
もちろん、出題内容は各学校や受験する年によっても異なるため、入学を希望する小学校が絞れた段階で学校説明会に赴き、出題傾向や対策をリサーチする必要があります。
その際、合わせて学校の理念や教育方針を理解しておくことが必要です。
ここでは、一般的に小学校受験で出題されることが多いと言われている考査の項目について、幼児教育で養いたい力と合わせてご紹介します。
多くの学校で採用されているのが、「筆記テスト(ペーパーテストやプリントとも呼ぶ)」「運動テスト」「絵画制作」「行動観察」「面接」です。
項目の内容と合わせて覚えておきたいのが、小学校入試のポイントが、学力のみを見ているわけではないという点。
人の話が聞ける、あいさつができる、整理整頓ができるといった躾によって身につく力についてもチェックされながら、総合的な判断がなされます。
筆記テスト
多くの小学校で採用されているのが筆記テストです。
出題傾向は各学校によって異なりますが、「記憶」「知識」「言語」「数量」「構成」「知覚」「推理」の7つの分野について考査されるのが一般的です。
この分野はそのまま、幼児教育で育みたい力につながりますが、いずれも大人が机上で教え込んで習得できるものではありません。
もちろん、出題の形に慣れるための練習は有意義ですが、真の力をつけるためには、普段の生活から意識的に育んでやる必要があります。
運動テスト
運動のテストでは、運動神経の優劣を測るというよりも、心身の健康状態や年齢に応じた運動の力を見るのが一般的です。
基本的な内容は、「縄跳び」「マット運動」「ボール投げ・キャッチ」「かけっこ」「鉄棒」「平均台」といった、普段から遊んでいるような内容であることが多いです。
日頃から外遊びの習慣をつけ、歩く・走るといった基本的な身体能力を鍛えるとともに、公園などで他の子どもたちと目一杯遊ばせてやることが、自然と運動テストの対策になると考えられます。
絵画制作
絵を描く課題となりますが、上手い下手が見られるわけではありません。
絵を通して「観察力」「創造性」「情緒性」を見るとされています。
テーマが出されるものから実物の写生をするものまで出題方法は様々。
普段から絵を描くことに慣れている必要はありますが、練習として室内にこもって描かせるのではなく、自然や風景、人や動物など、子どもの興味を尊重して様々な対象に触れさせてやるのがいいでしょう。
また、絵を描くことに限らず、はさみやのりなどの工作道具を楽しんで使わせる必要もあります。
行動観察
行動観察は多くの場合、初対面となる数人の子どもたちと一緒におこなうことになります。
ゲームをしたりグループで何かを作ったり、遊んだりすることが多い考査です。
行動観察に力を入れる小学校が近年増加していますが、それは「協調性」「社会性」「コミュニケーション能力」といった現代の大人社会でも重要視される力を測る考査であるためです。
幼児教育においては、自分でしっかり話ができること、人の話が聞けること、考えて判断できることを育む必要があると言えるでしょう。
面接
ほぼ全ての小学校で実施されるのが面接です。スタイルや長さは様々で、保護者だけ、子どもだけ、親子でと3つのパターンが考えられます。
面接のポイントとして頭に入れておきたいのは、家庭をアピールできるチャンスであるという点。
保護者自身のこと、子どものこと、これまでのこと(家庭・幼稚園・保育園)について聞かれることがほとんどなので、事前に家族で意見を交わし準備しておく必要があります。
小学校受験に合格したその後を知る
ここでは、小学校受験に成功するなどして、私立の中高一貫教育を経験した方の声を集めています。
入学後のキャリア形成の参考にしてみてください。
自身が私立小学校経験者 2008年12月4日
「私の通った学校は超一流ではありませんが、生徒数も240名前後と少なく、6年間とても楽しく過ごしました。
同窓会で聞いた卒業後の進路は、歯科医師4名、医師、弁護士、公認会計士、税理士、雑誌編集者、外タレ呼び屋、スタジオミュージシャン、ピアノ講師、プロダクション経営、サーフショップ経営、フードコンサル、ペットショップ経営、工務店経営、設計事務所経営、美容院経営、飲食店チェーン経営、自動車ディーラー、リフォームコンサル、保険コンサルタント、経営コンサルなど各1名。
あとは親の会社を引き継いだ中小企業経営者が半数です。
私の知る限り公務員は1名のみ。でも家業の鮨屋を継がなくてよかった、といっていました。
サラリーマンも多いですが、バブル崩壊で半数は転職を経験しています。
みな子供を私立で育てていますが、これも自分の人生がまあまあだったと思っているからでしょう。」
子どもが幼稚園から私立の一貫校経験者 2005年3月15日
「幼稚園から一貫校の通い中学2年になりました。中学の偏差値は62くらいです。
サクラさん(質問者)のような疑問は私立小内進生の親はつねずね感じておりますよ。
しかし、勉強の進度の違いや中学受験する子供とは真剣身が違うなどの理由で進学塾から嫌がられますので進学塾通いされている方は少ないようです。
行かれる方は個人塾や内部進学用の塾などです。
中学から入学された方はもちろん賢いお子さんが多いですよ。
子供も理解が早いと1年生のころは驚いていましたが、1年の3学期ころには、落ちこぼれてくるお子さんもちらほらいらっしゃいます。
中学受験の勉強と、中学の勉強は違うと思います。
付属小からの方は、こつこつ自宅学習型。
中学入りの方はずっと塾通い型。
私立生用の塾は、6年後の大学受験が目標ですから、学校より進度が速いです。
ですから、塾任せにすると、塾ではずいぶん前に習ったことを学校では今テストということになるので、忘れていたり理解不十分で学校のテストの点を落としてしまうことになってしまいます。
実際、お友達にいます。
ですので、中学も半分を終えた今は内進生も中学入生も変わらなくなっていますし、トップ層は内進生っていう所が結構多いですよ。
私立小のご家庭はお勉強にも躾にもしっかりしたものをお持ちです。
ちなみにうちの小学校では、5,6年生で英検2級や1級合格もいらっしゃいます。」
小学校受験に欠かせない幼児教育。教育法を熟考すべき
小学校受験のためには幼児教育が欠かせにないと言い切れますが、その内容や方法は保護者が責任をもって熟考すべきです。
まずは、子どもの自主性を重んじ、無理強いすることなく進めることを心がけないといけません。
合格することももちろん大切ですが、受験に向けた幼児教育で子どもを豊かに育めるように努力したいものですね。