学校では教えない「非認知能力」とは?

  

 

プロフィール

瀧 靖之(たき やすゆき)/東北大学加齢医学研究所教授。医師。医学博士。1970年生まれ。1児の父。東北大学加齢医学研究所機能画像医学研究分野教授。東北大学東北メディカル・メガバンク機構教授。脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達、加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍。『16万人の脳画像をみてきた脳医学者が教える「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)は、10万部を突破するベストセラー。最新の脳研究をふまえた「科学的な子育て法」を提案。

 

「非認知能力」は重要です。

もちろん認知能力(IQ)向上のトレーニングは学校でやります。

「非認知能力」は、なかなか学校では教えてくれない能力です。

非認知能力とは、「やり抜く力、我慢する力、共感する力」などのことを言います。

これらは非常に重要です。

特に「共感性」は重要でしょう。

やはり、私たちは、仕事でも、スポーツでも、何をやるにしても人と関わることは絶対に避けられません。

むしろ、それこそが人たる所以なのでしょう。

では、そのときに何が重要かと言えば、それが「共感性」です。

共感性とは、相手が何か困っている、苦しんでいるなど、何かあったときに、自分が相手の立場に立って、相手の気持ちを理解して、そして適切な行動である言葉がけをすることを指します。

学校では教えてくれない「共感性(非認知能力)」


このようなことは非常に大切です。

私たちは一人で生きていくものではありません。

必ずコミュニケーションを取って、助け合いながら生きていきます。

だから、この共感性こそが、人生を楽しく豊かにするうえで重要だと考えます。

しかし、この共感性は、学校で教えてもらえるのではありません。

これが非常に難しいところだと思います。

それにも関わらず、共感性は私たち人間にとって大切です。

では、この共感性をどうやって高めていかですが、この共感性は、生まれながらに獲得している部分もあります。

ただし、最近の研究の結果、後天的な様々な生活が、共感性の能力獲得に重要だということが分かってきました。

近年、共感性が下降傾向に


最近の研究で、共感性を見るためのテストがあり、アメリカの大学で実施されました。

大学に入学した学生を対象に同じテストを1970年代から現在まで繰り返しました。

すると、テストの中身も、対象になる学生の学年も同じなのに、共感性が徐々に下がってきていることが分かりました。

もし共感性が生まれもったものならば、そのような変化はないでしょう。

しかし、時代とともに下がっているという結果が出ました。

この原因は、まだ解明されていませんが、恐らくインターネットだろうと考えられています。

SNSのコミュニケーションの弊害


インターネット社会で、SNSなどのバーチャルの文字だけのコミュニケーションが増えてきて、人は相手を共感する力が落ちてきているのではないかと言われています。

コミュニケーションは、言葉だけで話しているわけではないでしょう。

表情や仕草や声の抑揚など、色々なものを使ってコミュニケーションをしています。

ところが、SNSでの「おはよう」「元気?」「何してる?」の文字情報だけです。

だから、表現や仕草などの情報がない分、相手が何を考えているかを理解することが難しくなります。

また、その理解をトレーニングする機会が減ります。それが、この結果につながったのではないかと考えられています。

「非認知能力」向上にすべきこと


だからこそ、子どもの頃は、インターネットでのバーチャルのコミュニケーションではなく、本当にリアルな親子のコミュニケーション、友人同士のコミュニケーションが必須でしょう。

そして、これが共感性、つまり非認知能力を高める重要な手段であると考えています。

これだけインターネットが普及しても、顔を合わせたコミュニケーションは、非認知能力を高めるうえで重要だと考えます。

コミュニケーションは、脳で言うと、頭の前方の前頭前野という部分が中心に働きます。

また、前頭前野と呼ばれるこの前頭葉は、だいたい思春期ぐらいに完成します。それまで、ずっと発達が続きます。

だから、6歳まで(未就学)のときのコミュニケーションは、SNSなどのものではなく、家族、友人、クラブ活動などのリアルなコミュニケーションを取る要があります。

それこそが、非認知能力を高めるうえで重要な要素になると考えます。

言葉以外の仕草や表情などの色々な情報を理解して、相手の気持ちをしっかり理解する力を養うべきだと考えます。

好奇心も必須


やはり、コミュニケーションを取るうえで重要なのは好奇心です。

好奇心の対象は、物だけではありません。人も対象です。

「この人は素晴らしいな」「こういう考えを持っているのが素晴らしいな」「この人はこういう努力をして、この職業に就いたんだ」「この人はこういうことをしたから」「こういうことを成し遂げられたのだなど」と、人に対する好奇心も非常に大切だと考えます。

そういった意味でも、好奇心、「知的好奇心」は、全ての根源になっているのではないでしょうか。

子育て中のあなたへ


子どもは、やはり無限の可能性を秘めている宝ではないかと考えます。

そして、その可能性は、もちろん子どもたち自身がほとんど広げていきます。

ただ、私たち親が、楽しく努力する姿を見せることで、子どもたちはその無限の可能性もさらに広げていくと考えます。

私も子育て中ですが、親子で楽しんでこれも無限の可能性を広げていくと、子どもの夢が叶い「子どもも幸せ、家族も幸せ、国も幸せ」なのかなと考えます。

みんなでがんばりましょう。

瀧教授インタビューの完全版はコチラ

 

 

 

プロフィール
瀧 靖之(たき やすゆき)/東北大学加齢医学研究所教授。医師。医学博士。

1970年生まれ。1児の父。東北大学加齢医学研究所機能画像医学研究分野教授。
東北大学東北メディカル・メガバンク機構教授。
脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達、加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍。『16万人の脳画像をみてきた脳医学者が教える「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)、『生涯健康脳』(ソレイユ出版)は、10万部を突破するベストセラー。最新の脳研究をふまえた「科学的な子育て法」を提案し、その中でも図鑑を子どもの脳を一番のばすツールとして推奨している。また、そのハウツーは、さまざまな教育系メディアにも取り上げられ、話題となっている。

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