子供の「発達障害」や「行動障害」という言葉を耳にすることが増えました。
実際に注意欠陥多動性障害(ADHD)と診断される子供が増えているという報告もあります。
今回はそんな、子供の発達や行動の障害について解説します。
子供の注意欠陥多動性障害(ADHD)とは?
集中できず気が散りやすいなどの「不注意」、じっとしていられず考える前に行動してしまう「多動性」、順番を待っていられず考える前に行動してしまう「衝動性」の3つの要素が見られるのが大きな特徴とされています。
医師など専門家でないと正確な診断はできませんが、保護者や幼稚園・保育園の先生など子供の日常生活を観察している人であれば、ある程度見立てることが可能です。
他の子供と自分の子供を比べる機会の少ない保護者よりも、幼稚園・保育園の先生の方が気付きやすいことが多いようです。
子供の「多動性」の代表的な症状
最もよく見られる特徴が、イスにじっと座っていられないというもの。
小学校に上がるとイスに座って受ける授業が中心となり、子供の「多動性」に気づく保護者が増えます。
遊びやレジャー活動などでも、落ち着いて参加しなければならない場面で困難を感じることもあります。
子供の「衝動性」の代表的な症状
大人とのコミュニケーションでわかりやすいのが、質問が終わらないうちに唐突に答えてしまうというもの。
落ち着きがないのは子供の特徴でもありますが、不自然に感じるほど相手の質問を遮ると症状が疑われるでしょう。
また、スーパーなどで欲しいものをみつけると、手がつけられないほど激しくダダをこねるなどの症状もよく見られます。
子供の「不注意」の代表的な症状
不注意な間違いが多い、必要なものを忘れたりすぐになくしたりしてしまう、また、興味のあることに集中し過ぎてしまい、次のことへの切り替えが苦手という特徴が「不注意」の症状として多く見られます。
小学校に上がると、課題や活動を順序立てることが困難に感じることも増えます。
ADHDチェックリスト
医療機関での精密なチェックを受ける前に、以下のリストを使用すると家庭で簡易に症状を見立てることができます。
行動
・3歳で、食事中の間などの時間、イスに座っていられずウロウロしてしまう
・貧乏ゆすり・爪を噛む・頭や手足をかくなど、常に体のどこかを動かしている
・目的のものを見つけたら障害物にぶつかったり踏んだりしても突進する
・音が気になり集中できない
・買い物中など少し目を離した隙に迷子になってしまう
・スーパーの食材などを過剰に触ってしまい潰したり穴を開けたりしてしまう
・非常ボタンなど押してはいけないものを押してしまう
・おもちゃや時計など、中身を見たくて壊して開けてしまう
・同世代に比べてケガが多い
・人見知りせず知らない人でも寄っていく
・家具や人など物によくぶつかる
・友達の靴を履き間違ったり、物を間違って持って帰ってきたりする
・午前中に張り切り過ぎて夕方エネルギーがなくなるなど、配分が苦手
・車が走っていても気にせず飛び出す
・順番が守れない
・注意されても理解せず、すぐに同じことを繰り返す
・お絵かきのクレヨンなど、机の上のものをすぐに落としてしまう
・興味のないことに取りかかるのに時間がかかる、取りかかれない
・外食の際、保護者が困難に感じるほど大声を出したり走り回ったりする
・好きな物をなかなか決められず、買い物が成立しない
生活
・ご飯やお茶などをよくひっくり返す
・お片づけがほぼできない
・持ち物をなくしたり忘れたりを頻繁に繰り返す
・食事や着替えの途中にぼーっとすることが多い
・テレビや遊びに集中すると、近くで呼んでも返事をしない
人間関係
・話を最後まで聞かずに行動してしまう
・静かにする場面でもできずにしゃべり続けてしまう、ソワソワしてしまう
・話の内容が途中でもコロコロ変わる
・話の途中でも上の空であることが多い
・うまく会話ができず、いきなり叩いたり抱きついたりして相手を驚かせる
遊び
・集中して同じ遊びを続けられず、目移りしてしまう
・水泳や体操などの教室に通うと、先生の指示通り活動ができない
・大きな揺れやジャンプなど、刺激の強い遊びを好む
・公園に行っても遊具を決めることができず、フラフラしている
感情
・小さなトラブルでもすぐに友達を叩く
・理解しているルールをすぐに破ってしまう
・自分の気持ちをコントロールできず、ちょっとしたことで激しく怒る
・理由がないのに友達を叩いてしまう
・興奮しやすく、落ち着くのが苦手
・トラブル時などに被害者意識が強く、過剰に反応する
・数ヶ月前のことなどをいきなり思い出して怒り始める
このリストではADHDの傾向の強弱を知ることができますが、当てはまる項目がいくつ以上あるからADHD症状が確定するというものではありません。
気になる場合は、必ず専門機関を受診しましょう。
子供の成長が遅いと感じたらすべきこと
子育て支援センターや公園など、同じ年齢の子供とわが子を比べられるシーンなどで、子供の成長の遅れを感じたら。
家庭内で不安に感じているばかりでなく、保護者にはできることがあります。
以下では、子供の成長が遅いと感じたらすべきことを順序に分けてご紹介します。
1、自治体の実施する検診を受ける
4ヶ月や1歳半など、自治体によって実施対象となる子供の月齢は異なりますが、必ず乳幼児には定期的に検診がおこなわれています。
兄弟がいたり仕事をしていたりすると決められた期間内に参加することが困難に思える場合もありますが、必ず検診を受けるようにしましょう。
助産師や子育てアドバイザーだけでなく、小児科の医師が子供の発育や発達について確認してくれるほか、子育てのアドバイスをおこなってくれます。
2、かかりつけ医・自治体の専門の課に相談する
定期検診を待てないなど、すぐに不安を解消したいと思う場合には、かかりつけ医に相談するようにしましょう。
自宅から近く生後2ヶ月から始まる予防注射を受けている小児科の医院がかかりつけ医に当たるでしょう。
大きな病院に行くように指導されたり、発達支援の専門機関を紹介してくれる場合もあります。
また、多くの自治体では子育てを支援する専門の課を設置しています。
役所の職員が子育てアドバイザーや専門機関を紹介してくれることもあるので、気軽に相談するようにしましょう。
3、保育園・幼稚園の先生に相談する
すでに保育園や幼稚園に通っている場合には、担任の先生など日頃子供の様子を見ている人に相談してみましょう。
毎日、多くの幼児に関わっているプロであるため、保護者と同じくらいもしくはそれ以上に子供の発達に敏感に察知することができます。
園によっては専門の子育てアドバイザーを設けている施設もあるため、必要に応じて別途相談の時間を設けてくれる場合もあります。
4、発達支援センターへ通う
言葉の遅れなど、発達の遅れを支援する専門機関がいずれの街にも存在します。
症状によっては早いうちから専門教育を受けることにより、発達の遅れを大きく軽減できるものもあります。
家庭内で心配しすぎることなく、気軽に専門家に相談を
子供の成長は、個人によって大きくばらつきがあります。
また、個性なのか障害なのかを素人が見極めることは非常に困難です。
さらに、親だけで悩んでいると悩みが深くなりストレスが大きくなりがちです。気軽に専門家に相談してみるようにしましょう。