幼児教育って何?得られる効果や教育方針の考え方をご紹介!

乳幼児を育てるパパやママなら、必ず耳にしたことがある言葉が「幼児教育」です。

小学校に上がる前の未就学児に対する教育のことを指しますが、その内容や効果について正しく理解している人は少ないでしょう。

また、子どもが教育の対象となるため、専門家の中でも最適な方法や性格な効果を検証することが難しいとされている分野でもあります。

今回は、そんな幼児教育についての効果や教育方針の考え方を、最新の研究事例をもとにご紹介いたします。

幼児教育とは?


幼児教育とは、子どもの2つの能力を育てることを指します。

1つは「認知的能力」、もう1つは「非認知的能力」と呼ばれています。それぞれについて見てみましょう。

「認知的能力」

「知能指数(IQ)」テストや学力テストで即的できる能力のことで、算数や国語に代表されるようないわゆる“勉強“に使用される能力を指します。

「認知的能力が高い」ということは知能やIQのレベルが高いことを指し、一般的には”頭がいい“”勉強ができる“ということを意味することが多いでしょう。

この認知的能力はさらに2つの能力に分けて考えられることが多いです。

基本的なものと高次なものの2種類ですが、基本的なものは、読み書きや計算、知識や技能のことを指し、高次なものは、問題解決力や創造力、意思決定力を指すことが多いです。

「非認知的能力」

「知能指数(IQ)」テストや学力テストで即的できない能力を指します。

具体的には、忍耐力や協調性、表現力や自分をコントロールする力などが挙げられます。

この非認知的能力は、子どもが主体となった遊びで育つことが近年の研究で明らかになっています。

子どもは、遊びを通して意欲や我慢強さ、それに探究心などを身につけていくとされています。

「幼児教育」と耳にすると1つ目にご紹介した“勉強”で養う「認知的能力」を想像しがちですが、近年は「非認知的能力」を養うことに注目が集まっています。

次章では、「非認知的能力」についての最も有名な研究をご紹介します。

幼児教育をおこなうとどのような効果があるのか?


幼児教育の分野で、40年以上に渡る調査・研究を続けているのが2015年にベストセラーとなった「幼児教育の経済学」を書き上げたジェームズ・ジョゼフ・ヘックマン教授です。

2000年にノーベル経済学賞を受賞している同氏は、経済学の面から幼児教育の効果検証にアプローチしています。

本書には、実証経済学を代表する研究者である大竹文雄氏の解説がつけられていますが、その中で大竹氏は、ヘックマン教授の研究には2つの大きなポイントがあると述べられています。

1つ目は、就学前教育がその後の人生に大きな影響を与えることを明らかにしたこと。

2つ目は、就学前教育で重要なことは「知能指数(IQ)」に代表されるような認知能力だけではなく、忍耐力や協調生、計画力といった日認知能力も含まれることを明確化したことです。

教授は「ペリー就学前プロジェクト」「アベセダリアンプロジェクト」などを代表とする追跡調査をおこない、幼児教育が対象者のその後の人生に与える影響を研究しました。

この2つの研究では、恵まれない家庭の子どもを、無作為割り当てを使用して子どもが成人するまでを追跡調査しています。

「ペリー就学前プロジェクト」

1962年から1967年にかけて、低所得のアフリカ系の子どもたち58世帯を対象に実施。

幼児に対して午前中に毎日2時間半ずつ教室で授業を受けさせる他、週に1度は各教師が家庭を訪問して90分の教育指導をおこないました。

指導内容は子どもの年齢や能力によって調整されていますが、知能指数の向上ではなく「非認知的特質」と呼ばれる子どもの自発性を重要視する教育法が用いられました。

主な内容は「子どもが自分で考えた遊びをおこない毎日復習させる」「復習は集団でおこない社会性を身につけさせる」といったものです。

こうした教育を30週間続けたグループと何もしていないグループの子どもたちを、その後40歳まで追跡調査したのです。

「アベセダリアンプロジェクト」

1972年から1977年に誕生した恵まれない家庭の子どもたち111人を対象に実施。

スタート時点で平均4.4ヶ月だった乳児たちが8歳になるまで継続され、子どもたちが21歳になるまで継続して調査されました。

また、2012年には30歳時点での追跡調査も実施されています。

いずれの調査においても、実験グループの子どもが何もしていない対象グループの子どもよりも良い結果を得ています。

具体的には、学力検査の成績が良いという結果のほかに、学歴が高い、特別支援教育の対象者が少ない、収入が多い、持ち家率が高い、生活保護受給率や逮捕者率が低い、という結果です。

ヘックマン教授の研究以外にも様々な幼児教育の効果検証研究はおこなわれていますが、その多くの研究において幼児期に「非認知的能力」を養うことが将来の成功のカギになると結論づけられているのです。

子どもへの教育方針はどのように決めればいい?


慶應義塾大学総合政策学部准教授で、教育経済学の専門家として活動、2015年に「『学力』の経済学」を書いた中室氏は、子ども一人ひとりが違っているため、適した教育の内容は異なると言います。

誰かがおこないうまくいった教育や子育てが他の人にも当てはまるとは限らないと前置きした上で、子どもの教育方針を考える際に重要な2つのポイントを、幼児教育に関する研究の結果から考察されています。

1つ目は「しつけ」に関するポイントです。

とある研究では4つの基本的なモラル(=ウソをついてはいけない、他人に親切にする、ルールを守る、勉強をする)をしつけの一環と
して親から教わった人は、それら全てを教わらなかった人と比較すると、平均年収が86万円高い、という結果を出しています。

この研究結果からは、幼児期におけるしつけの有無やその質が将来の金銭的な成功を左右することがうかがえるのではないでしょうか。

2つ目は、先ほどご紹介したヘックマン教授の研究からの考察です。

ヘックマン教授は自身の講演の中で「Scaffold(橋渡しをする)」という単語をキーワードとして多用します。

子どもが成長するためには、子どもの周りにいる大人が「次のステップに進めるような橋渡しをすること」が必要というわけです。

「ペリー就学前プロジェクト」においては、幼稚園の先生が対象となる幼児の家庭に定期的に訪問していますが、その訪問の際に保護者が子どもへの「橋渡し」の方法を学んだことがポイントであったと考察されています。

この2つのポイントから、幼児への教育方針を検討する際には、基本的なモラルを教える「しつけ」と、子どもが次のステップへ進みやすくなるための「橋渡し」をすることが重要であると考えられるでしょう。

「認知的能力」を上げる“お勉強”に偏らない幼児教育を!


最新の幼児教育の研究結果を覗いてみると、大人になってからの成功を左右する幼児期のポイントは、「認知的能力」のみにはないことがうかがえます。

“お勉強”をさせていると親としては安心感がありますが、それ以上に重要な「非認知的能力」をアップさせることはできません。

日頃のしつけや成長を促す言葉がけなど、日常に埋もれ軽視してしまいそうなことにこそ、子どもの能力を伸ばす鍵が隠れているのかもしれません。

これを機に、「幼児教育」という観点から子どもとの日頃の接し方を見直してみてはいかがでしょうか。

特別記事