小学校受験の現状やメリット・デメリットについて

  

現在の日本では、幼児教育熱の高まりに拍車がかかっています。

共働き世帯は増加する中、少子化により一家庭が一人あたりの子どもにかけられる教育費が増えていることが大きな要因です。

小学校受験にチャレンジしようとする家庭も増えており、その関心は高まる一方です。

今回は、そんな小学校受験について現状やメリット・デメリット、効果的な対策についてご紹介します。

小学校受験の現状

子どもに小学校の受験をさせる親は全体の1.7%となっています。

内訳をのぞいて見ると、首都圏に住む家庭では2.5%と全体よりも高くなっているのに対し、地方では0.7〜0.8%と低いスコアになっています。

また、男女によるスコアの差では、男子が2.2%なのに対し、女子が2.8%とやや高いスコアを示しており、女児を持つ家庭で小学校受験を目指す傾向がやや高いことがわかります。

幼稚園と保育園で分けたスコアでは、幼稚園が3.3%で保育園が0.6%とかなりの差をつけて幼稚園が高い結果です。

まとめると、小学校受験が集中しているのは、首都圏に住む幼稚園に通わせる家庭ということができます。


参照元:ベネッセ

このデータの背景には、首都圏に小学校から受験が必要となる人気(もしくは名門と呼ばれる)小学校が集中していることが挙げられます。

また、幼児教室や習い事など受験対策として有用なものは、平日の日中におこなわれていることが多く、共働き家庭では利用が難しいことが挙げられます。

裏を返せば、小学校受験を希望している家庭では、乳児期のころから幼稚園利用を決めているとも言えるでしょう。

また、最近の動向としては、小学校を選ぶ親の視点に「安心・安全・地元志向」というものがプラスされました。

これは2011年に起こった東日本大震災が影響しており、今後も起こりうるとされている震災に備えて、学校の危機管理や耐震設計、それに自宅や親の職場からのアクセスなどが問われているのが実情です。

実際に、東日本大震災が発生した当日には、子どもを徒歩で迎えに行き、徒歩で帰宅したという例が散見されており、中には夜中までかかって帰宅したという家庭も多かったようです。

また、災害時には保護者同士の繋がりが重要である点も再認識され、今後の学校選びには保護者会の状況なども注目される点だと言えるでしょう。

また、まだまだ少数派ではありますが、共働き世帯でも小学校受験を希望する家庭が増えているのが実情です。

このため、放課後の子どもの管理に力を入れている小学校が注目されるようになっています。

学校の中には、アフタースクールを開講し子どもの能力・情操開発や学習・体育・芸術などの各教室を授業後に開講しているところもあります。

こうした学校の動きは今後ますます盛んになると言え、こうした施策を打つ小学校に人気が集中することも予測されます。

小学校受験や入学後のメリット・デメリット


続いては、受験や入学した後のメリット・デメリットについて確認していきます。

メリット

・充実したカリキュラムを受けられる

全国で統一されたカリキュラムを進める公立小学校とは異なり、独自の優れたカリキュラムで小学校教育を進めている学校が多いです。

中には、個人のレベルに合わせたプログラムを組むなど、細かなケアをしてくれる学校もあり、親としては安心して子どもを通わせることができると言えるでしょう。

・しつけが行き届いていることが多い

自由な校風が目立つ私立の小学校ですが、その中でもしつけに関してはきっちりとおこなうという学校が多いです。

しつけの基本は家庭内となりますが、日中のほとんどの学校で過ごす小学生にとっては、小学校で受けるしつけについての教育も重要だと言えるでしょう。

・教師の転勤がない

定期的な転勤がある公立小学校とは違い、私立小学校で働く教師には、基本的には転勤がありません。

そのため、各教師が責任を持って職を全うしていると言えるでしょう。

音楽や芸術など、専門性の高い強化については専門の先生が配置されていることも多く、手厚い教育が期待できます。

・内部進学ができる

小学校受験をする最大の理由に、内部進学を挙げる保護者は多いです。

内部受験と呼ばれる受験はあるものの、小学校に合格すれば一般受験よりもかなり楽に大学まで進学できる学校も多く、思春期の子どもに負担をかけたくない親からは、評価される大きなポイントとなっています。

・家庭環境の良い友達が多い

一概には言えませんが、受験が必要な小学校へ通う子どもの親は医師や弁護士、会社の代表を務めるなど裕福な家庭が多いです。

また、教育熱心な親も多いため、俗にいう“悪い友達”の影響で道を踏み外す可能性が低いと言えるでしょう。

多感な年頃の子どもへの友達からの刺激を懸念する親には大きなメリットとして受け取られています。

デメリット

・自宅から離れている

受験のない公立の小学校は、ほとんどが子どもが自宅から歩いて通えるところにありますが、国立や私立などの小学校は電車通学が必要となる場合が多いです。

小さい子どもに電車を利用させる心配や事件に巻き込まれる懸念、また、自宅近くに友達ができないなどのデメリットが挙げられます。

・学費が高い

私立小学校の多くは、公立小学校と比べると数十倍の学費が必要となります。

また、大学までエスカレーター式に進学すると、その差はさらに広がることでしょう。

国立など一部の小学校では、質の高い教育を受けながらも、学費を抑えられるケースもありますが、その分難関であることが多いです。

また、入学した後も富裕層の多い私立小学校では、保護者同士の交際に馬鹿にならない費用がかかると嘆く親もいます。

学費の問題は多くの家庭を悩ませるデメリットと言えそうです。

・宿題が多く、塾や習い事との両立が難しい

公立小学校と比べると毎日の宿題が多く出る傾向にあります。

塾や習い事に力を入れたい家庭では、宿題をこなすことに時間を取られて、満足に塾の宿題や習い事の練習に時間がかけられないということも。

勉強に時間を取られるあまりに寝るのが遅くなったり、不規則な生活リズムをさせている家庭もあり、成長期の子どもには深刻な懸念点と言えるでしょう。

・人間関係が変わらない

小学校から大学までをエスカレーター式に進めば、15年以上似た友達関係に囲まれて過ごすという子どもも少なくありません。

友達関係がうまく築けなかったりイジメ問題が発生していたりすると、これほどまでに長期間同じ友達と過ごすことを苦痛に感じる子どもも生んでしまうでしょう。

・幼児教室に通わなければいけない

小学校受験の対策をスムーズにおこなうためには、幼児教室に通わなければいけません。

幼児期の間は遊びを中心にのびのびと育てたいと考える家庭では、ペーパー試験対策などで机の前に座らせることを無理強いすることに抵抗を持つ親もいるでしょう。

また、受験対策をしっかりしている教室であればあるほど、月謝が高くなるため、幼児期から教育費が高くなるというデメリットも挙げられます。

小学校受験の是非は、子どもが成人するまでを見据えて検討する


小学校を受験することで、その子の大学生活までもが決定づけられるケースは少なくありません。

そのため、ちまたの評価や知り合いの噂話を鵜呑みにするのではなく、子どもの個性や家庭の親の考えを今一度整理し、本当に受験が必要か?どんな小学校が最適か?を、熟考すべきだと言えるでしょう。