乳幼児を抱える保護者の中には、幼稚園受験に興味があるという人もおられるでしょう。
現在の日本では、受験をせずとも入園対象の年齢を迎えると必ず幼稚園に入園することができますが、受験をして入る幼稚園とそうではない幼稚園にはどのような特徴があるのでしょうか?
また、受験をする際の対策として有効なものは何なのでしょうか?
幼稚園を受験するとは?受験の対象となる幼稚園は?
現在の日本では、5歳になる年の春(入園段階では4歳)を迎えると必ず保育園に入園することができます。
自治体に申し込みをする必要はありますが、年齢以外に入園の条件や試験は設けられていません。
こうした保育園は「公立幼稚園」と呼ばれ、自治体が運営しています。
また、働いている幼稚園教諭は公務員となり、文部科学省が作成した指導要領を用いているため、園ごとで教育方針に大きな差異がない点が特徴です。
一方の「私立幼稚園」は、社会福祉法人や学校法人、中にはキリスト教会や仏教寺院が運営しているため、教育方針にばらつきがあります。
そのため、園ごとに力を入れる教育内容や重きをおく考え方に差がある点が特徴です。
幼稚園受験の対象となるのは後者の「私立幼稚園」で、その方法や内容は実に様々です。
実技などの試験をおこなういわゆる“お受験”がある幼稚園もあれば、実技はなく親子での面接だけで終わるという幼稚園もあります。
面談では、幼稚園を希望した理由や子どもの家庭での様子、子どもを園に預ける上で幼稚園に気をつけて欲しいことなどを、気軽に話し合うという幼稚園が多いようです。
また、受験のない幼稚園の多くでは、願書などの書類を面接時に提出することが多いです。
受験を実施する幼稚園の中には、面談を受ければ必ず合格できる幼稚園もあれば、毎年競争率が発表されるような“合否”を争うような幼稚園があるのも事実。
あくまで一般的な傾向になりますが、有名な大学を持つ学校法人が運営する付属幼稚園では、そのままエスカレーター式で大学まで進学できるため、希望者が多くなる傾向にあります。
そのため必然的に合格する子と不合格の子が出てしまうのです。
また、基本的な傾向ではありますが、首都圏や主要な都市部に受験が必要は付属幼稚園が固まっていることが多く、地方では願書や面談を実施して定員に達したら締め切る、定員以上の申込者は抽選で合否を決めることが多いです。
幼稚園受験のメリットやデメリット
ここでは、幼稚園を受験するメリットやデメリットについてご紹介します。
特に、合否を伴う“お受験”をおこなわなければならない幼稚園の受験を検討しているご家庭は、チェックしておいてください。
幼稚園受験のメリット
1:「大学まで内部進学ができる」
大学を抱える付属幼稚園では、「内部受験」と呼ばれる受験に合格すれば、大学までエスカレーター式で進学できることが約束されています。
もちろん、内部受験に落ちてしまう人もいますが、その割合は一般受験よりも低く、さらに日頃の内申点が重視される内部受験では、試験における子どもへの負担が減るため、将来が約束されることもあり、幼稚園受験をするメリットと言えるでしょう。
2:「充実した教育カリキュラムを受けられる」
独自のカリキュラムで教育指導がなされる私立幼稚園では、公立幼稚園では受けることのできない特別な指導を受けられる場合が多いです。
英語や音楽など早期教育の重要性が叫ばれる分野に力を入れる園も多く、習い事をさせずとも才能を伸ばすことも可能です。
こうした独自のカリキュラムを魅力に感じる家庭は多いです。
幼稚園受験のデメリット
1:「幼児期の子どもにストレスを与える」
高校や大学受験とは異なり、幼稚園受験では子ども本人の意思ではなく受験がおこなわれることがほとんどです。
実技が中心の試験とはいえ、専用のトレーニングや親からの指導が子どもの負担となる場合も考えられます。
また、家から離れた幼稚園に通うケースも多く、近所で遊ぶ友達がいないことを寂しいと感じる子どもがいるのも事実です。
2:「高額な学費がかかる」
自治体が定める決められた保育料がある公立幼稚園とは異なり、私立幼稚園の中には高額な保育料や入園料、さらには制服代や給食費などが必要となるケースが多いです。
また、エスカレーター式に進学をすると、小学校以降で莫大な額の教育費が必要となることも多いです。
おすすめの受験対策について
幼稚園受験の内容は各幼稚園で異なりますが、以下では一般的な受験内容をご紹介します。
- 運動
マットや体操などを用いて、基本的な身体能力をチェックします。 - 知能
パズルや簡易な会話の記憶をチェックすることで、思考力や記憶力をチェックします。 - 絵画
テーマに沿って絵を描く場合と自由に絵を描く場合とに分けられます。お絵かきを通して思考力や表現力がチェックされます。 - 行動観察
お友達や先生との遊びを通して、協調性や忍耐力をチェックされます。 - 生活習慣
あいさつやお片づけなどができるかを通して、基本的な生活習慣やしつけのレベルがチェックされます。 - 面接
子どももしくは親のみでの面接と親子での面接があります。内容は園によりますが、志望理由や教育方針、家庭での様子やしつけについて聞かれることが多いです。
また、親の趣味や仕事について訪ねる幼稚園もあります。
- 生活習慣
基本的な生活習慣やしつけは、外注できるものではありません。家庭での教育が基本であり重要です。規則正しい生活をする、好き嫌いなく食べる、あいさつをする、など人として生きる上で必要な習慣やマナーを日頃から親が躾けるように心がける以外にはありません。
- 知能/絵画/行動観察
特に、知能や絵画については専門性の高い技能となるため、受験対策を得意としている幼児教教室に通う必要があるでしょう。面接のトレーニングをしてくれる教室もあるので、親子で通うと安心できますね。
また、行動観察は集団の遊びでおこなわれることも多く、日頃から同年齢の友達との遊びを通して培われる技能となりますが、幼稚園に入るまでは周りに友達がいないという家庭も多いため、こちらも幼児教室に通うと教室の仲間と技能を培うことができます。
以下では各技能に応じて、おすすめの受験対策をご紹介します。
幼稚園受験は、子どもの個性を見ながら進める
幼稚園受験は親の教育方針で決められますが、忘れてはいけないのが子どもの個性を観察することです。
家の事情などで仕方なく受験せざるを得ない場合もあるかもしれませんが、貴重な子どもの個性を潰してしまうことがないように、のびのびと受験準備を進めたいものですね。